2009
0412

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ノルウェイの森、映画化。。。
書店に平積みになっている、赤と緑の表紙の文庫本にかかった帯に書かれた、
『映画化決定!』の文字に思わず『うっそぉ』と叫んだのは私です。

好きな作家の作品を読んでいるときに、
もしこれを映画化するなら誰が適役????と思うことはあります。
でも大抵、該当者なし!という結果に落ち着くことがほとんど。
ノルウェイの森か。。。直子さんは誰だろう、レイコは?
は!ワタナベトオルはもしや渡辺徹・・・?(ま、まさか)

村上春樹作品をすべて読破したわけではないけれど、
いまのところ一番好きなのは『国境の南、太陽の西』です。
(ノルウェイの森じゃないのかよ!←自虐ツッコミ)

ハジメ君と島本さんのような関係ってある意味理想だわ・・・
とうっとり妄想したり、
『玉葱の薄皮のような』カシミアのカーディガンって
一体おいくら?って考えたり・・・(笑)

たまには趣向を変えて、、、ということで、
村上春樹風(※あくまでも、『風』)の文体での脳内妄想をショートストーリーにしてみました。
基本はフィクション、ところどころノンフィクション混じってます。
どこが?という質問にはノーコメントでよろしく(笑)



クリスマスの少し前の月曜日、
飲み会がはねたあとにマリコさんと僕は閉店間際のカフェにいた。
二軒目行く?と誘ったのはマリコさんの方だし、
でもお酒じゃなくてコーヒーでいいわ、って決めたのもマリコさんだ。

前に行った、あのお店でいいでしょう?
そう一人決めしてさっさと歩いていくマリコさんの、
モヘアツイードのコートからのぞく足にみとれながら僕はついていった。

コーヒーでいい、って言ってたくせにミルクティを頼んだマリコさんは、
深酒すると泣き上戸なんだけど、今日はお酒もほどほどだったせいかご機嫌だった。

歯医者と恋に落ちるってありえないわね、
だって向こうはあたしの口をこーんな風にこじあけて
じゅるじゅる出る唾をバキュームしながら親知らずをめりめり引っこ抜くのよ?

とか、

この前ね、乳液をくるくる塗ってる時に思いっきり小指を鼻につっこんじゃった、
そしたら鼻血が出たの、もうびっくり、鼻血っていくらでも出るのね、
あたし生理中だったしマジで貧血で倒れるかと思ったわ。

とか、

ねぇ知ってる?
包丁って最近簡単に手にとることが出来ないように、
売り場にくくりつけてあるの。
お店の人にこれ取ってくださいって言わないと買えないのよ。

とか、

あたし生まれ変わったら巨乳のシングルマザーになる、
子供は男の子で、ママとかマミーじゃなく母さん、って呼んでほしいのよね、
でもって年頃になって彼女を家に連れてきたとき、
『これ、俺のおふくろ』なーんてあたしのことを紹介したりするの。

とか、他愛のない話を次々と聞かせてくれていた。

ひとしきり話し続けた後、あぁのどが渇いた。
そう言って水をごくごくと美味しそうに飲んだマリコさんは急に目を輝かせ、

ねぇ、もしタイムマシンに一回だけ乗せてもらえるならいつの自分に戻りたい?

・・・・って聞いてきたのだった。

僕なりに一生懸命考えたけど、
果たしていつの自分に戻りたいのかどうしても思いつかない。
沈黙が続くのが怖くて僕は言った。

マリコさんごめん、そういう想像って僕は苦手なんだ。

・・・あ、そうなんだ

明らかに、予想と違う僕の答えにがっかりした様子を見せるマリコさんの目から
唐突に涙が流れた気がした。まずい。
マリコさんが泣き虫って知ってる男は、おそらく世界中で僕と、
あともう一人いるはずなんだ。

ごめん。せっかく楽しい話聞かせてくれてるのに、ごめん

いいの、謝らなくて。楽しいだなんてお世辞もいらない。
あたしがヘンテコなんだから。そんな風に言わないでよ

でも、泣いてるじゃないか

泣いてなんかいない。これ違うの、涙じゃないから。
だってあたし笑ってるでしょ?
・・・・・あたしはね、タイムマシンに乗せてもらったら、
小学校3年生の夏に戻りたい。春でもいいかな。

小学校3年生の夏、、、、
夏休みになにかすごくいいことがあったの?

・・・・・お母さんが生きてた最後の年よ。

にっこり笑った口元と、涙でぐしゃぐしゃの目元との対比が
マリコさんをこの上なく無防備で危なっかしい小動物に見せている。
僕は彼女の家庭環境について、あまり知らなかったことに気づきあせっていた。

傷だらけのジッポのライターをいじりながら、
こういう時ってなんて言うのが一番適切なんだろう?と
頭の中であれこれ言葉を選んでいるとき、そろそろ閉店です、と
店員が言いに来たことが僕をほっとさせた。
そしてほっとしている自分に対してうしろめたさを感じたりもした。

そのライター、禁煙したらあたしにちょうだいね。

マリコさんはそう言いながら涙をぬぐって、そして笑った。
やれやれ、これじゃあ女を泣かせてるサイテー野郎って思われてるだろうな。

いつものことだけど、千円ずつ出し合ってお釣りは全部マリコさんに渡す。
店を出て並んで歩きながら、得した気分、って小さく呟くマリコさんは、
さっきまで泣いてたようには見えなかった。

地下街へ降りる階段のところで立ち止まって、もう大丈夫だよね、と
僕はマリコさんの顔を覗き込んだ。

さっきはごめんなさい。
タイムマシンだなんてありえない話で泣かれちゃたまらないでしょ?

そんなことないよ。僕こそ想像力が足りなくてうまく話に付き合えなくてごめん。

ううん。謝らないで。あたし・・・・あなたを疲れさせていない?

そんな風に思ったことなんて一度もないよ。そんなことないから、元気出して。

ありがとう、優しいんだ。
さ、そろそろおうちに帰らなくちゃ。

最近物騒だから、気をつけて。

ホントよね。暗い暗い夜道を、かよわい女が一人で帰るんだもの。
襲われたらどうしよう?

もし襲われたら、そいつの手をつかんで大声あげるんだよ。

きゃあ〜、痴漢!この人痴漢です!やめて下さい!・・・・って?

そう言ってマリコさんは僕の手をつかむとくすくす笑った。
指を絡ませて見詰め合った僕らは、いつものように軽いキスをした。
ちらっと片目をあけると、女の人が少し離れたところで
『路チューしてる馬鹿ップル』な僕らを一瞥して歩き去っていくところだった。

・・・マリコさん、今日はどっち?

マリコさんは、630円のと5250円のルージュとでは味が違うはずだ、
という主義の持ち主なんだけど、僕にはその違いはぜんぜんわからない。
この前も安いのと高いのを塗り比べて試してみたんだけど、
僕にわかるのはマリコさんの唇の柔らかさと、
キスする時はいつも目を閉じてるってことだけだった。

今日はね、高い方。クリスマスだもの、お洒落しなくちゃ。
ねぇあなたって相変わらず違いのわからないオトコなのねぇ。

わからなくてごめん。ほんと、ごめん。

・・・・どうしたの、今日は謝ってばかり。なにか疚しいことでもある?

ないよ。ないけどさ、ちょっと泣かせちゃったから。

背中に手を回して引き寄せ、今度は僕も目を閉じて、
さっきよりもほんの少し長いキスをした。

さよなら。おやすみなさい。

マリコさんは、そう言って階段を足早に駆け下りていく。
途中で立ち止まって振り返ると、小さく手を振った。

おやすみ。気をつけて。

マリコさんの姿が地下街に吸い込まれて見えなくなるまで見送った僕は、
まだぬくもりの残っている唇を指でぬぐった。
5250円のルージュがかすかな光を放っていた。

もしタイムマシンに乗せてもらえたら、15秒前に戻ろうか。
今日は高い方のリップでしょ?
そう言ってマリコさんを驚かせてやるんだ。

2009
0412

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コメント
あけましておめでとうございます。
ってかなり遅いですよね。

可愛らしいフィクション?ノンフィクション?でした。

ところで猫達も元気でしょうか?

うちのは年末に「膵炎」を患い
入院騒ぎで大変でしたが
今は全快です。

12日に「アンダーカバー」観てきて
帰りに「バーン・アフター・リーディング」の
前売り買って来ました。春が待ち遠しいです。
2009/01/14 4:42 PM  er-mo
どの部分がノンフィクション?と、
どきどきしながら読ませていただきました。
私も口紅の味比べしてほしいものです(笑)
遅ればせながら、今年もよろしくお願いします!
2009/01/14 7:56 PM  りょうこ
今年もよろしくお願いいたします♪

すごい!スゴイ!!凄い〜〜〜!!!
しんじょーさんったら?!スゴイ(キラキラ)


私もタイムマシンに乗ってマリコさんの驚く顔が見たくてたまらなくなりました♪


2009/01/29 11:12 PM  サンジ
◎er-moさん
こんにちは!!!!亀レス過ぎて笑っちゃいますが。。。
膵炎、大変でしたね。
今は全快ということ、お大事にして下さいね。
私は今年観た映画はいまのところ
レボリューショナリーロード
007 慰めの報酬
の2本で、来週オーストラリアを観てきます。
BAR、早く観たいですね!!

◎りょうこさん
ノンフィクションなのは。。。。(赤面)
鼻血は実話です(笑)
口紅、つけてる側は匂いとか味とかが違うって
わかるんですよねー。

◎サンジさん
きゃー、お恥ずかしい。。。。
いよいよ2月となって
サンジさんチも忙しい毎日と思います。
妄想全開で、今年もよろしくお願いします☆
2009/02/23 10:49 AM  しんじょー
コメントするにょ?









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